交流事業 カタール国友好交流調査 Visit for Qatar
平成20年2月27日(水曜日)から3月4日(火曜日)にかけて、公募した市民からなる市民調査団がカタール国を訪問し、ドーハ文化フェスティバルに参加し、知多市の文化を紹介してきました。
また、文化や教育、スポーツなどの施設を視察し、今後の友好交流に向けた調査を行いました。
目的 |
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日程 |
2月27日(水曜日) セントレア発 2月28日(木曜日) ドバイ経由ドーハ着 1. 在カタール日本大使表敬訪問(調査団代表) 2月29日(金曜日) 4. カタール国内(砂漠方面)視察 3月1日(土曜日) 6. シティセンター視察 3月2日(日曜日) 9. アルバヤーン女子学校訪問 3月3日(月曜日) 13. フォーク・クリエイティビティ・センター訪問 3月4日(火) ドバイ経由セントレア着 |
訪問期間 | 平成20年2月27日(水曜日)~3月4日(火曜日) 4泊7日 |
訪問団 | カタール国友好交流調査団(団長:平松典保、ほか市民11人) |
在カタール日本大使表敬訪問
- 日時 2月28日 12時45分~13時15分
- 応対者(敬称略)
特命全権大使 北爪由紀夫夫妻、専門調査員 木村将史
在カタール日本大使館を訪問し、平松団長が、今回のドーハ文化フェスティバルへの知多市民の参加までの協力、訪問に関する手配へのお礼を伝えました。また、これまでの知多市とカタールとの交流事業と今回の訪問の概要を説明しました。
大使館に飾られた着物と雛人形
北爪特命全権大使からカタール国内の現状について説明
- カタール国内の人口は年々増加している
- 約1,000,000人の在住外国人がカタールで暮らし、そのうち、日本人は約1000人が在住している
- 大使館では、抹茶、着付けなど様々な日本文化を紹介する事業を実施している
など、カタールを支える外国人労働者の現状、外国との経済上の関わりなどについて分かりやすく説明を伺いました。
カタール大学訪問
- 日時 2月28日 14時15分~16時00分
- 応対者(敬称略)
カリド・アブデュル・アル・アリ先生、ローレンス・メッツガー先生(顧問)、教師数名、学生十数名
カタール大学は男子学生用と女子学生用にキャンパスが分かれています。女子学生用キャンパス(Women Foundation Building Ground Floor)へ向かい、カタール大学の基礎課程(Foundation Course)のジャパニーズ・クラブ(Japanese Club)を訪問しました。
カタール大学の説明
カタールの教育制度は日本同様6・3・3年制。通常は高校まではすべてアラビア語での教育を受けるため大学教育とのギャップがあり、そのギャップを埋めるために2004年にこの基礎課程のプログラムを設立。このプログラムでは英語教育、TOEFLを始めクリティカルシンキングなども行っています。コースは英語、IT、数学を3つの柱とし、ほとんどの学生が大学へ進学しています。
ジャパニーズ・クラブについて
このクラブは大学唯一の異文化交流クラブ。「アメリカ、イギリスではなく日本なのだ」と担当のローレンス先生はとても誇らしげに語っていたのが印象的でした。ローレンス先生は日本で教師をしていた経験もあり流暢な日本語で説明をしてくれました。
学生たちは、徳川家康、大徳寺、たそがれ清兵衛、新海誠(アニメ作家)、宮崎アニメ、俳句などについて学んでおり、徳川家康の肖像や、大徳寺の写真、新海誠氏について紹介されましたが、日本人であるこちら側が知らないような情報もあったことが印象に残りました。日本映画の上映会、日本大使館でのお茶会なども計画されているようです。カタールでは日本のアニメが人気で、中には漫画家に将来なりたいと思っている学生もいます。アニメはTVではアラビア語、英語で放映されていて、英語の漫画本もありますが、カタールでは漫画本を買うことはできないのですべてインターネットで購入すると聞きました。
アニメのみでなく日本や日本文化に興味がある学生の集まりであるため、今回の訪問は私たちだけでなく学生にもいい機会となったようです。何人かの学生とメールアドレスの交換をしたため、今後も交流ができればと思います。
カタール大学でのプレゼンテーション
カタール国内(砂漠方面)視察
- 日時 2月29日 9時00分~13時30分
トヨタのランドクルーザー3台で砂漠に出発。ガソリンスタンドに立ち寄るが、ガソリン代は日本では140円/リットル、こちらではハイオクが約24円/リットルと日本の約6分の1。高速道路でもないのに、120km/hのスピードで走り、ホテルから約1時間かけてサウジアラビアとの国境近くのインランドシー(ホール・アル・ウディト)へ向かいました。
レンタルバギーの並ぶ砂丘へ到着。8頭のらくだがいて、交代で試乗し、50m程の往復をしました。(1回QR15)この日は車が多く砂漠の中を連なって走りました。ランクルは砂丘の急斜面を降下。砂漠を滑るようにして、アクセルは踏まずに降りていきます。広大な砂漠で目印はありませんが、ルートは決まっている様子。横に前後に激しく揺られながら10分程走りインランドシーに着きました。現地ドライバーが座って急にお祈りをしだしたかと思いきや、何かを捕まえたものをみると12cm程の白いトカゲ。見渡すと砂漠には5~10m間隔をあけて所々にグラス状の葉が育っていて、こんなところにも生物が存在していることに気付きました。
再び車に乗り5分程するとサウジアラビアが対岸に見える地点に着きました。海をはさんで対岸は右側がカタール左側はサウジアラビアがよく見えます。後ろを振り向けば砂漠が広がり小高い丘には丸いテントが建っています。色のコントラストがとても美しく、ビーチは、静かな内海でコバルトグリーンからエメラルドグリーンへと、そのグラデーションは、神秘的な色を写し出しています。その美しさに皆思わずカメラを手に取りビーチに足をつけました。カタールでは、水源を海水の淡水化プラントによっていて、その関係で塩分濃度が高くなると聞きました。美しい海を後に別のコースを走って帰路につきました。
海の向こうはサウジアラビア
ドーハ文化フェスティバル 知多市ブース出展
- 日時 2月29日~3月3日 17時30分~20時30分
ドーハ文化フェスティバルは、公共施設、ホテル、ショッピングセンターなどドーハ市内の至るところで毎年開催される文化祭で、今回が7回目。世界各国が参加し、演劇、詩、音楽、踊り、文学などが披露されるイベントで、今回のテーマは「諸文化の集結点ドーハ」です。
2月29日から3月3日までに4日間、古い市場を再現した「スーク・ワーキフ」に知多市ブースを出展し、知多市の魅力、祭などを四季に合わせて写真で紹介するパネルを展示しました。多くの来場者に様々な日本の伝統的な文化を紹介するとともに、抹茶、折り紙、押し花を実際に体験していただきました。
1日目・オープニング式典・出展
オープニング式典
アル・ハージリー実行委員長が知多市ブースのオープニング式典のために来場。北爪大使が実行委員長を迎え、テープカットを行い開幕しました。
大使夫人から茶道を紹介される実行委員長
抹茶・押し花・折り紙の体験
オープニング式典の後、日本人会の会員が抹茶、押し花、折り紙の体験を行いました。始めは遠慮がちの現地の人も時間が経つにつれて参加していきました。約3時間の間に押し花を約60名、抹茶を約120名が体験しました。抹茶は男性の参加が多く、押し花は子供も多く参加していました。お水、ゆすぎのためのバケツ、釜の代用ポットは現地のスークにて急遽購入。この日は週末(金曜日)であり、一番集客が見込めるため、できるだけ多くの方に体験してもらえるように対応しました。
現地の人たちでにぎわう知多市ブース
2日目出展
折り紙の体験
参加者約50名。折り紙でこま、鶴、風船を、新聞紙でかぶとの制作を体験してもらいました。かぶとは好評で日本から持ち込んだ新聞紙がすぐになくなり、現地スークで調達することになりました。
書道の体験
参加者120名(色紙40枚、半紙100枚)。相手の名前を聴き取り、ひらがなで表現。参加者の約8割がアバヤ姿の女性。自分の分だけでなく家族全員分を欲しがる方が目立ちました。
かぶとをうれしそうにかぶる子どもたち
自分の名前を書いた半紙を持って
3日目出展
抹茶の体験
日本大使夫人から、本来の抹茶の濃さはこちらでは受け入れられないので、薄いお茶を出したほうがよいとアドバイスをもらっていたので、初日から緑色がつく程度の薄い抹茶を出していました。ひな祭りにちなんだ干菓子を5種類ほど持って行きましたが、日本のお菓子が珍しいらしく、大変好評でした。
押し花の体験
手元が暗いなかでの押し花作りではありましたが、多くの人に楽しんでもらえました。
押し花体験
華やかなパネル展示
4日目出展
折り紙体験
初日からブースのサポートをいただいていた中部電力ドーハ事務所の永井所長にも折り紙の講師として活躍していただきました。この日が出展最終となり、早めにすべての催事を終了し、撤収をしました。
知多市ブースの開催場所であったスークワーキフ(Souq Waqif)はオールド・スークとも呼ばれる場所で、伝統的な市場を保存、再現したテーマパークのような場所であり、観光客も多く見られました。生活必需品から民芸品、工芸品など様々なものを売っていますが、カタール製のものを見つけることは困難でした。
折り紙でもたくさんの方に楽しんでいただけました
シティセンター視察
- 日時 3月1日 10時30分~13時00分
大型ショッピングモールであるシティセンターを視察訪問し、この国の人や暮らしを垣間見ました。モールには、デーツ(ナツメヤシの実)ショップ「Bateel」、チョコショップ、らくだの骨の工芸品店「Camel Bone Boxes」、ペルシャ絨毯店、アンティーク雑貨店などがあり、現地の人たちが利用する大型スーパーマーケットもありました。
この大型スーパーマーケットは、レジ数が48もあり、食料品、衣類、家電、日用雑貨にいたるまで品物は豊富にあります。近郊で採れる野菜は見当たらず、輸入品ばかりのようでした。参考までに価格帯は、ビーフ(QR32~75)、みかん(QR4~)、りんご(QR6~13)、バナナ(QR3~5)、トマト(QR3~16)、ジャガイモ(QR3~5)。
(数字はkg単位の値段でQR1=約30円)
また、モールの中央部で吹き抜けのドームの1階部分にはアイススケートリンクがありました。このリンクはセンターの冷房装置を兼ねていました。
エントランスには大きなやしの木
多数の店舗が立ち並ぶショッピングモール
アルバヤーン女子学校訪問
- 日時 3月2日 10時20分~12時00分
- 応対者(敬称略)
山下 貴子先生(カタール教育相から派遣された日本語教師で日本人)
ヘッサ校長(Mrs. Hessa Abdullah)、プライマリー2(小学校4~6年)の日本語クラスの児童16人
この学校は、1999年にインディペンデント・スクール(独立した学校)として半官半民で設立。いろいろな国のいいところを取り入れ、好きなようにカリキュラムを組むことができ、現在の生徒数は約3,000人、4種類で5校。
- 小学校 低学年
(1) プライマリー1 - 小学校 高学年
(2) プライマリー2 625人(←今回の訪問先) - 中学校
(3)(4) プレパラトリー - 高校
(5) セカンダリー
2006年11月に開設した日本語クラスは課外活動で36人(4年生16人、5年生20人)、校長先生の子どもも在学しています。作法から日本の心を学び、日本語も熱心に学んでいます。校長先生の持つ日本人の印象は、勤勉、やさしくてよく学ぶということ。児童の両親も多くが日本語を学ぶことを望んでいるそうです。
日本語クラスの児童13人が「幸せなら手を叩こう」「1から20までの数字の歌」「あいさつの歌」を日本語で歌ってくれました。知多市メンバーも「春」「おぼろ月夜」を歌って返しました。
児童らに「日本のどういうところが好きですか?」と尋ねると、着物と着物を着たときの髪の毛が好き。日本のおもちゃ、国歌(君が代)、日本大使が好き。縁がある。やさしい、親切、大人が怒鳴らない、年をとっても元気だから、などと返事が返ってきました。
日本の歌を披露する児童
ドーハ銀行CEO表敬訪問
- 日時 3月2日 12時40分~14時30分
- 応対者(敬称略)
ドーハ銀行 最高経営責任者 シーサラマン(CEO Mr. R. Seetharaman)
ドーハ銀行 シンガポール支店長 黄国良(Mr. Wong Kokleong)
秘書担当 カイサル(Mr. Kaisal)
カタールやCEO自身を紹介するビデオを視聴し、昼食をとりながら歓談、交流しました。
CEOの挨拶
日本とカタールは経済面においても重要なパートナーで日本は1996年より一番の取引先。日本には、東京、名古屋、知多に行ったことがありとても親切にしていただきました。セントレアでは地球温暖化についての講演をしたことがあります。日本は経済的に発展しており、人間的にも礼儀正しく素晴らしい。知多市長にも会い工場地帯を訪れとても感激しました。ドーハと日本の関係が今後もよい関係であることを願います。
環境への取組みについて
日本は環境問題への取り組みが進んでおり、セントレアではソーラーシステムを見学しました。GCC(湾岸協力会議)6カ国とともに、環境問題について考えていかねばならないと思います。個人としても紙を使わない工夫やプラスチックリサイクル、緑を育て緑化に努めています。
ドーハ銀行の外観
アルジャジーラ・チルドレン・チャンネル訪問
- 日時 3月2日 15時30分~16時30分
- 応対者(敬称略) クリスティン・サレム
中東を代表し、世界的にも有名なアルジャジーラ放送局の一つであるアルジャジーラ・チルドレン・チャンネルを訪問しました。以前、日本で放映されたアルジャジーラ・チルドレン・チャンネルの番組で、現代の中東社会における教育のあり方などについて、子どもの生の声を取り上げていたことから、この放送局の訪問を切望していました。
放送局には、番組作成用のスタジオと出演する子どもたちが待機する施設がありました。この待機施設は、地域の一般の学校が利用できるようになっていて、実際、訪問した日にも子どもたちが様々なメニューを楽しんでいました。放送番組の制作に限らず、施設を地域に開放することで、子どもの教育にも貢献している施設だと感じました。
世界に多くの番組を発信
地域の小学校に開放されている施設
フォーク・クリエイティビティ・センター訪問
- 日時 3月3日 10時20分~12時20分
- 応対者(敬称略)
館長 サルマ・アル・ノアイミ
新しい物ができることで古い物が忘れ去られないよう、若い世代(15~30才)にこれまでのカタールの民俗文化を伝承するためこの民俗資料館が作られました。この資料館はカタールの古き良き民俗文化を展示するだけでなく、製作、研究、出版の機能を合わせもっています。
ここでは、民俗衣装、木工、やしの木、織物、石膏細工、宝石、革製品、陶器、絵画の各ユニットを見学しました。
図書館で去年の文化祭で紹介された日本文化の写真集を見せてもらいましたが、女性の着物姿は着物も日本のものと違うし、モデルも明らかに日本人ではありませんでした。これを見て、私達本物の日本人を見てもらうことが出来てよかったなあと思いました。
見学が終わったあと、カタールの習慣であるというローズ・ウォーター(バラ水)で手を洗った後、ベドウィン(遊牧民)のテントでカタールの伝統的な食事をごちそうになり、ヤギの皮で絞ったミルクやヨーグルト含め、たいへん美味しいものでした。
アラビア織りの実演
パン作り
アスパイア・アカデミー訪問
- 日時 3月3日 15時00分~15時50分
- 応対者(敬称略)
広報担当 ナビィラ フェダァイ
アスパイア・アカデミーは2004から2005年にかけて設立された施設で、国際競技大会で優秀な成績を収められる人材を育成すること、社会に開放して人々に生涯学習として利用してもらうことを目的としています。オリンピック競技がすべてできるように整備され、素晴らしい近代的な大きな施設で驚くばかりでした。
施設見学は競技場、アスレチックトラック、練習場、サッカー競技場(室内ゴム敷)
他にも室外に5箇所(天然芝)2箇所(人工芝)など。国がスポーツに力を入れて、人材育成をしていることがよく分かり、2016年のオリンピックは、東京も立候補しているようですが、今の時点ではカタールにはとても勝てない印象を受けました。
屋内陸上競技場
(訪問時は体操競技で使用されていた)
屋内サッカー場