更新日 2022年06月10日
小さな名脇役・ペコロス
知多市は「ペコロス」という小さな玉ねぎの栽培が盛ん。その直径はおおよそ3~4cmほどで、切らずにステーキの添え物や煮込み料理、揚げ物などに使われることが多く、関東地方のレストランや飲食店を中心に出荷しています。
大きな玉ねぎほど万能ではないけれど、小さな玉ねぎならではの特性を活かして、さまざまな料理に彩りを添えることができる…。そんなペコロスの出荷に密着し、作り手の思いや直面する問題、はたまた農家直伝のマル秘レシピまで取材してきました。

知多ペコロス

出荷の様子
1箱5kgの段ボール2箱で出荷
ペコロス農家の一日は、早朝から出荷作業に追われます。畑に天日干しにしておいたペコロスを1箱ずつ詰めてベルトコンベヤーへ。中を見ると、つやつやとしてまるでピンポン玉のよう。計量したら2箱まとめてバンドで縛ります。
1箱あたり5kgの段ボールを、最盛期には一日に360箱ほど出荷するそうです。この日が初めての出荷だという南條さんという女性は「研修を含めて1年以上。やっとこの日を迎えられた」と感慨深げ。5kgという重さについても、女性でも運びやすいのでうれしいと話します。「子どもと一緒に手入れをしたり、成長を見守ったり、農業が教えてくれることは本当にたくさんありました」と出荷されていくトラックを、優しいまなざしで見送っていました。

密集して植えられるペコロス

1箱5㎏・M玉で約250個入る

昭和56年撮影の収穫の様子
減少しつつあるペコロス農家
ここ知多市の日長地区は土地も狭く、温暖で粘土質の少ない砂地のため、ペコロスの栽培に適しているのだと言います。「大草や新舞子などにも昔はたくさんペコロス農家がありましたが、今では1/10くらいになってしまいました。若い農家さんに積極的に声を掛けていますが、手作業なので手間も掛かるし、地元のスーパーにはあまり流通せず関東圏へ出荷してしまうので、まとまったお金にならないのでは、という先入観があるのかもしれません」と永井さん。
しかし、東京や神奈川などのレストランでは知多市のペコロスはなくてはならない食材。「TVやドラマでペコロスの料理が写ると、知り合いから電話がかかってくるほどです。洋食でも和食でも、職人の手を煩わせることなく、皮をむいたらそのまま調理OK。小さいので短時間で料理できるし、いいことずくめです。そんな野菜を育てているというやりがいを、今の若い人にも感じてほしいですね」
小農家が教えるおいしい食べ方
スーパーなどでいつでもあるとは限りませんが、一部のスーパーや、産直市場や直営売り場なら知多市内でも手に入るペコロス。私たちでもできるおいしい食べ方を教えていただきました。
「一番簡単なのは揚げ物ですね。頭とおしりを切り落として皮をむいたら、衣をつけて2分くらいサッと揚げるだけ。小さいので余熱で中まで火が通ります。カレーやシチュー、ハッシュドビーフなどの煮込み料理にもオススメ。ゴロゴロとした見た目が食欲をそそります。ただ他の野菜と一緒に煮込むと溶けてなくなってしまうので、ペコロスは電子レンジで加熱し、完成してから加えてください。ペコロスを半分に切って真ん中をくりぬいてミンチを詰めて焼けば、お弁当のおかずにもなりますよ」
たくさんのレパートリーを教えていただき、感謝です!ペコロスが手に入ったらぜひ、おかずの一品に加えてくださいね!

知多ペコロスの揚げ物

出荷の様子
1箱5kgの段ボール2箱で出荷
ペコロス農家の一日は、早朝から出荷作業に追われます。畑に天日干しにしておいたペコロスを1箱ずつ詰めてベルトコンベヤーへ。中を見ると、つやつやとしてまるでピンポン玉のよう。計量したら2箱まとめてバンドで縛ります。
1箱あたり5kgの段ボールを、最盛期には一日に360箱ほど出荷するそうです。この日が初めての出荷だという南條さんという女性は「研修を含めて1年以上。やっとこの日を迎えられた」と感慨深げ。5kgという重さについても、女性でも運びやすいのでうれしいと話します。「子どもと一緒に手入れをしたり、成長を見守ったり、農業が教えてくれることは本当にたくさんありました」と出荷されていくトラックを、優しいまなざしで見送っていました。
知多市の誇るブランド品として
農家の高齢化が進み、作り手が減少しつつあるペコロス。全て手作業で、繊細かつ丹念に育てられていることが分かりました。一流の料理になくてはならない存在として、また、家庭料理のお助け野菜としてもおいしくて魅力たっぷりなペコロスを知多市の地域ブランド品として市を挙げて応援していきたいですね。

ペコロスについて語る永井さん


取材日:令和元年5月
ライター:光田さやか