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知多市の逸話ストーリー#04 “たぼけ”が実らせる佐布里梅

2022年6月10日

工業を“水”で支える佐布里池

知多市の東部に位置する、佐布里池。昭和40年5月の竣工以来、知多市・東海市・阿久比町・東浦町へと工業用水を供給してきました。愛知用水の貯水池として、知多半島の工業を支える貴重な水源です。
この池を囲むように植えられているのは、5,000本を超える梅の木。春一番が吹くころになるとさまざまな品種の花がほころび、その豊かな香りと色は、訪れる人の心をなごませ、笑顔にします。2月初旬から開催される「佐布里池梅まつり」にも多くの人々でにぎわいます。

佐布里池梅まつりの様子
佐布里池梅まつりの様子



佐布里梅の誕生秘話

 今回は、そんな梅の木と佐布里池にまつわるお話を、「佐布里梅研究会」の新海章寛(しんかいよしひろ)さんにお聞きしました。佐布里池と佐布里の梅に親しんできた、まさに生き字引きのような存在です。 そんな新海さんによると、今でこそ有名な佐布里梅ですが、もとは「鰐部亀蔵(わにべかめぞうさん」という方が桃の花に接ぎ木して育て始めたものなのだそう。「農家だった鰐部さんは、文化3年(1806年)の生まれ。当時、梅といえば白梅ばかりだったけれど、鰐部さんはピンク色の桃の木を台木にして、梅を接ぎ木したんだな」と話してくれました。

そんな鰐部さんを、周囲の人は“たぼけ(ひとつのことばかり考えているこだわり屋、のような意味)”と呼んでいたこともあったのだとか。しかし、何度も何度も繰り返していくうちに、その本数は増え、畑のまわり一帯に広がり、梅林となっていったそうです。

 佐布里梅の花
佐布里梅の花



開通時の愛知電鉄(名古屋鉄道)の常滑線
開通時の愛知電鉄(名古屋鉄道)の常滑線

大正~昭和初期にかけてにぎわった観梅

大正11年、愛知電鉄(今の名古屋鉄道)の常滑線が開通すると、佐布里の梅林は観光名所として急速に発展。あたり一面に広がる梅を観に多くの人が押し寄せました。戦時中こそ、さみしくなったものの、終戦後にはまたにぎわうように。「おでんの屋台やお茶室、休憩所。芸者さんが来たり、モデルの撮影会をしたり。“うぐいす天神”なんていう天神様にお参りをしたりもしたそうです」とのこと。

 

また、梅の実は、木を下からつついて落としていたのだとか。それをようかんやせんべいに加工して、販売したりもしていたそうです。当時の記録で7万人にもなる人出は、新聞にも取り上げられるほど。しかし、そんな日々は、とある出来事がきっかけで終わりを迎えてしまうのです。


伊勢湾台風と佐布里池の建設、そして梅林の復活へ

昭和34年9月、伊勢湾台風が襲来し、東海地方に甚大な被害をもたらしました。8割は倒木し、実がならない状態に。「佐布里梅は根が浅く立ち根がないのでたくさん倒れてしまったのかもしれない。私も滑車を使って木を一本一本引っ張り起こしましたよ」

 

その後、昭和38年になると佐布里池の建設が始まり、これまであった梅林のほとんどは池の底に沈みました。長年、深刻な水不足に悩まされていた知多半島に工業用水を賄うための大切な池の建設だったので、反対運動もほとんどなく、住民はその完成を待ちわびていました。

 

そして、ついに昭和40年、佐布里池の工事も完了。「再び、佐布里に梅林を」と地域住民が声を上げ、梅の植樹が始まりました。「これだけ広い範囲をどう水やりする?という話にもなったが、水をかけると言えば消防団だろう!ということで、消防団が率先して行ったものです」先人たちの努力の甲斐あって、現在の佐布里池の周辺は再び彩りに満ち溢れる場所になったのです。

 復活した梅林

復活した梅林


 

 
伊勢湾台風の被害で傾いた架線柱(日長
伊勢湾台風の被害で傾いた架線柱(日長)
建設中の佐布里池と佐布里大橋
建設中の佐布里池と佐布里大橋
  
 

梅について語る新海さん
梅について語る新海さん

若い人にも佐布里の梅に親しんでほしい

梅林を歩きながら、新海さんは話します。「佐布里に咲く梅にも品種がたくさんあります。薄い桃色をした佐布里梅のほか、白色の白加賀。青っぽいものは青軸というんですよ。紅色ですが、次第に紫がかってくる道知辺というものもあります」佐布里池周辺には全部で25種類もの梅が植えられているそうで驚きです。種類ごとに開花する時期も異なれば、実の特徴も異なると言います。




そ新海さんの所属する佐布里梅研究会では、ジャムや梅干し、ジュースなどの加工・販売を行うだけでなく、どのようにして良い梅を作っていくかの研究も進めています。御年82歳の新海さん。今回の取材で梅に関する話を本当に楽しそうに話してくれました。その熱意はいったいどこからくるのでしょうか?「そりゃあ、“たぼけ”になることですね。そうでないと一つのことをずっと突き詰めていくのは難しい。地元に恩返しがしたいし、よそに住む人にももっと魅力を知ってもらえたらうれしいですね。私もそろそろ、若い後継者を探さないといけません。このままでは、まだまだ研究を続けてしまいますから」
 佐布里梅研究会が販売する梅干し佐布里梅研究会が販売する梅干し

 
梅の木を手入れする新海さん
梅の木を手入れする新海さん
佐布里池梅まつりの開会式
佐布里池梅まつりの開会式
  
 

取材日:平成31年1月
ライター:光田さやか

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