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知多市の逸話ストーリー#03 朝倉の梯子獅子 獅子頭製作者加藤孝治さん 「好き」と「根気」で続けた10年間

2022年6月10日

 知多市の「朝倉の梯子獅子」

知多市朝倉には、戦国時代の慶長4年(1599年)から伝わる伝統芸能「朝倉の梯子獅子」があります。獅子にふんした勇猛な若者たちが、はしごの上でお囃子(はやし)に合わせて舞い踊り、力強い演舞で観客を魅了します。
まさに祭りの顔ともいえる獅子舞の頭(獅子頭)を製作しているのが、加藤孝治(かとう こうじ)さんです。
加藤さんが獅子頭づくりを始めてから約10年。そのきっかけや、やりがい、今感じている思いをお聞きしました。

 

梯子上での梯子獅子
梯子の高さは9メートルあまりと迫力がある。
梯子上での梯子獅子②
獅子頭の朱色が青空に映える。
梯子上での梯子獅子③
足をかけてぶらさがる「大アオリ」はスリル満点。

  

獅子頭について語る加藤さん師匠の山本銀蔵さんが製作した獅子頭について語る加藤さん

今は亡き師匠の作品に感銘を受ける

加藤さんの獅子頭づくりの師匠は、山本銀蔵さん。加藤さんの同級生のお父さんでした。これまで、数多くの獅子頭を製作・修繕していた山本さんに感銘を受け、「慣れ親しんだ朝倉の梯子獅子の獅子頭を、自分も作りたい」と思ったそうです。
そして、加藤さんが55歳で退職した時に、山本さんに師事。それ以来、未知だった「獅子頭づくりへの道」を歩み始めました。
子どものころから手先が器用で、モノづくりが好きだった加藤さん。とはいえ、獅子頭づくりは全くの初心者。彫るための道具をそろえるところから始まり、木の組み方、名古屋彫りと呼ばれる技法。目に映るすべてが新鮮だった加藤さんは、多くのことを学びました。
6カ月後、山本さんが亡くなるまでは。



周りの人に助けられ、今がある

加藤さんが獅子頭づくりを習い始めてたった6カ月で、師匠である山本さんはこの世を去ってしまいました。悲しみに暮れる間もなく襲ってくる、「これから獅子頭づくりはどうしたらいいのか」という不安。しかし、落ち込んでいる時間はありません。加藤さんは、山本さんの息子で同級生でもある修平さんに、山本さんの道具や型紙などを譲ってもらえるよう頼みました。
山本さんの遺した材料や型紙を見ながら研究を続ける加藤さんの周りには、いつしか多くの協力者が。同じく山本先生のもとで学んでいた朝倉梯子獅子保存会長の近藤博夫さんをはじめ、岐阜県下呂市で獅子頭を製作している中島富男さん、長野県飯田市の祭りで出会った現地の大工さん、仏具店、塗料店、金箔屋など。中には、山本さんが懇意にしていたという業者さんも。「山本さんはこうしていたよ」「こうするともっとよくなるよ」など、たくさんのアドバイスをもらったそうです。

 獅子頭作りをする加藤さん
獅子頭作りの様子



「商品」ではなく「作品」を作るために

こうして試行錯誤を続けて、早10年。修繕した獅子頭は10頭、一から完成させた獅子頭は7頭にもなりました。今でも行き詰まると、自身が作った第一作品目を見て、気持ちを奮い立たせることがあるそうです。そんな加藤さんが大切にしている思い。それは、「商売のための“商品づくり”ではなく、使い手・観客のための“作品づくり”」だということ。
 歯がカーンと遠くまで鳴って、はしごの上でも獅子役が持ちやすくて、激しく動けるように極限まで軽い獅子頭。それこそが、加藤さんの手掛ける“作品”なのです。
 「今年の獅子は、よく鳴るね!とか、軽くて動きやすかったよ!って言ってもらえると、ああ、よかったなと思いますね。勇ましい獅子の姿を見て、より多くの若者が跡を継いでくれたらうれしいです」
 歯の噛み合わせ部分に銅板をつけたり、一頭を約900gの軽さにしたりと、工夫は細部に行き渡ります。

獅子頭
製作・修繕した獅子頭

 

地域伝統芸能大賞支援賞、受賞へ

加藤さんの活動は、貴重な技術を伝承し、製作・修繕を続けた数少ない一人として、「平成30年度地域伝統芸能大賞支援賞」の受賞が決まりました。
今、どんなお気持ちですか?と率直な感想を聞くと…。「畏おそれ多い気持ちでいっぱいです」と恐縮したご様子。周りの協力があったからこその受賞だと、これまでの道のりをしみじみと回顧しているようでした。続けて、こう言いました。
今回の受賞は、私がいただくものじゃありません。“朝倉の梯子獅子”がもらうものだと思っています。あくまでも、主役は梯子獅子ですからね」

 地域伝統芸能大賞支援賞、受賞へ
表彰式の様子



製作の難しさを楽しそうに語る加藤さん
製作の難しさを楽しそうに語る加藤さん

思いがあるから、続けられる

加藤さんに、今後について伺いました。「ノミを持てる限りは、やりますね。山本さんの作品でも、プロ職人の作品でもない、自分なりの獅子頭を作り続けていきたいと思います」
しかし、無理のない範囲で続けたいとも話しました。その理由を伺うと、「この仕事は好きでないと続けられないな、と思うからです」との答えが。「“好き”と“根気”があるから、作品づくりが続けられる。これからも、若い人たちが祭りに憧れるような、そんな獅子頭を作っていけたらいいですね」
加藤さんの傍らに置かれた獅子頭が、ふっと笑ったように見えました。

 

獅子頭作りに用いる型紙
獅子頭作りに用いる型紙
獅子頭作りに用いる道具
獅子頭作りに用いる型紙


取材日:平成30年10月

ライター:光田さやか

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秘書広報課
電話:0562-33-3151
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