○知多市手話言語条例

令和2年3月26日

条例第1号

言語は、お互いの気持ちを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で欠かせないものである。

手話言語は、手や指の動き、表情を使って視覚的に表現するもので、音声言語と同様に一つの言語である。

聴覚に障がいのある者のうち、ろう者は、物事を考え、伝えたいことやお互いの気持ちを理解するために、また、知識を蓄え、文化を創造するために、手話言語を大切に育んできた。

しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや環境が整備されてこなかったことなどから、ろう者は視覚による情報しか得られず、言いたいことが相手に伝えられず、聞こえないことを理由に様々な不便や不安を感じながら暮らしてきた。

このような状況の中で、障害者の権利に関する条約の採択や障害者基本法の改正により、手話が言語として位置付けられたが、その認識は、広く共有されているとはいえない。

知多市は、ろう者のこれまでの歴史を踏まえ、手話が言語であるという認識に基づき、手話言語の理解を図り、その普及啓発を通じて、市民一人ひとりが共に支え合い、住み慣れた地域で安心して暮らすことができる共生社会の実現を目指すため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語の理解及び普及並びに手話言語の使用しやすい環境の整備に関し基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、ろう者を含む全ての市民が共生できる地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 手話言語 手及び指の動き並びに表情を使って視覚的に表現する独自の文法を持った言語をいう。

(2) ろう者 聴覚に障がいのある者のうち、手話言語を使い、日常生活又は社会生活を営むものをいう。

(基本理念)

第3条 市、市民及び事業者は、手話言語の特性を認識し、かつ、ろう者が手話言語を獲得し、及び意思疎通を図る権利を有することを踏まえ、手話言語の理解及び普及並びに手話言語の使用しやすい環境を整備し、地域共生社会の実現を目指すものとする。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話言語に対する市民の理解及び手話言語の普及を図るとともに、日常生活及び地域における社会参加において手話言語の使用しやすい環境の整備を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(市民及び事業者の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備をするよう努めるものとする。

(施策の推進)

第6条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する障害者計画及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項に規定する障害福祉計画において、手話言語の理解及び普及並びに手話言語の使用しやすい環境の整備のために必要な施策を定め、これらを総合的かつ計画的に推進するものとする。

(委任)

第7条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

知多市手話言語条例

令和2年3月26日 条例第1号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉
沿革情報
令和2年3月26日 条例第1号