○知多市火災調査規程

令和3年3月26日

消本訓令第1号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 火災等の定義(第4条―第8条)

第3章 調査体制(第9条―第13条)

第4章 火災原因調査(第14条―第21条)

第5章 質問(第22条―第26条)

第6章 原因の判定(第27条・第28条)

第7章 火災損害調査(第29条―第31条)

第8章 資料の提出等(第32条―第34条)

第9章 鑑定等(第35条)

第10章 報告(第36条―第39条)

第11章 雑則(第40条―第44条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づいて行う火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、火災の原因及び損害を明らかにして火災予防対策及び警防施策を推進する上で必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(調査の区分)

第3条 調査の区分は、火災原因調査及び火災損害調査とする。

2 火災原因調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。

(1) 出火前の状況

(2) 出火原因

(3) 延焼拡大の状況

(4) 初期消火等の状況

(5) 避難の状況

(6) 消防用設備等の状況

(7) 死傷者の状況

(8) 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

3 火災損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。

(1) 焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害

(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害

(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた前2号の規定以外の損害

(4) 火災による死傷者

第2章 火災等の定義

(火災の定義)

第4条 火災とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設若しくはこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(火災件数)

第5条 1件の火災とは、一つの出火点から拡大したもので、出火に始まり鎮火するまでをいう。

2 飛火による火災が現場から消防隊が引き揚げた後に発生したときは、当該火災は別件火災とする。

(火災の種別)

第6条 火災は、次の種別に区分する。ただし、火災の種別が2以上複合するときは、原則として焼き損害額の大なるものの種別による。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。

(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。

 自動車車両とは、鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。

 鉄道車両とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいう。

(爆発)

第7条 爆発とは、次によるものをいう。

(1) 爆発は、人の意図に反して発生し、又は拡大した爆発現象をいう。

(2) 爆発現象は、化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガス及び熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。

(焼損程度)

第8条 建物の焼損程度は、次のとおり区分する。

(1) 全焼 建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(2) 半焼 建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

(3) 部分焼 建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の20パーセント未満のもので、ぼやに該当しないものをいう。

(4) ぼや 建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり、焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が、火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみ焼損したものをいう。

第3章 調査体制

(調査責任)

第9条 消防長は、管轄区域内の調査の責任を有する。

(体制の確立)

第10条 消防長は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。

2 消防長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認めるときは、調査本部を設置することができる。

(調査の着手)

第11条 消防長は、管轄区域内に火災が発生したことを覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。

(調査の実施)

第12条 消防長は、調査員を指名して調査に従事させるものとする。

2 消防長は、必要があると認めるときは、前項の調査員以外の消防職員を調査に従事させることができる。

(調査員の心得)

第13条 調査員は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 常に火災の現象、関係法令、社会の動向その他調査に必要な知識の習得を図り、調査能力の向上に努めること。

(2) 調査員相互の連絡協調を図り、調査業務の進行を円滑に行うよう努めること。

(3) 調査に際し、関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由及び権利を不当に侵害し、及び調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。

(4) 調査に関係のある場所へ立ち入るときは、原則として、関係者の立会いを得ること。

(5) 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡をとり、相互に協力して調査を進めること。

第4章 火災原因調査

(調査の原則)

第14条 火災原因調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく、科学的な方法による確認及び合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。

(消火活動中の現場保存)

第15条 消火活動に従事する職員は、出火箇所と認められる場所及びその付近(以下「現場」という。)の消火活動に当たって物品を移動し、又は破壊しようとする場合は、調査に支障を及ぼさないよう現場の保存に努めなければならない。

(消火活動後の現場保存)

第16条 消防長は、消火活動が終了した場合において、現場保存の必要があると認めるときは、次に掲げるところにより、現場保存の処置をとらせるものとする。

(1) 現場保存区域は、調査上必要とされる最小限度にとどめること。

(2) 現場保存区域は、ロープ等で表示すること。

(3) 現場保存区域は、必要に応じ監視員を置き、保存の万全を図ること。

(4) 現場保存区域は、関係者(法第2条第4項に定める関係者をいう。)その他火災に関係のある者(以下「関係者等」という。)であってもみだりに出入りさせないこと。

(死者の取扱い)

第17条 現場指揮者は、火災現場において死者を発見したときは、直ちに消防長に報告するとともに、所轄警察署長に通報し、必要な措置を講じなければならない。

(火災状況の見分)

第18条 消防職員は、火災現場に出動したときは、燃焼物件、燃焼の推移その他火災の状況を十分に見分しておかなければならない。

2 前項の規定により見分を行った者は、必要に応じ出火出動時における見分調査書(第1号様式)を作成しなければならない。

(実況見分)

第19条 調査員は、火災現場を見分するとともに、火災の原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。

2 前項の規定により、火災現場を見分し、又は資料を収集するときは、関係者等の立会いの下に行わなければならない。

3 前2項の規定により、見分を行ったときは、必要に応じて次に掲げる書類を添付した実況(鑑識)見分調査書(第2号様式)を作成しなければならない。

(1) 現場案内図

(2) 火災見取図(建物の配置、各階平面図、出火室平面図、出火箇所平面図等)

(3) 火災復元図(出火室、出火箇所等)

(4) 火災現場記録写真

(5) 前各号に掲げるもののほか、実況(鑑識)見分調査書作成に必要なもの

(立証のための調査)

第20条 消防長は、調査現場において焼損物件等の分解や見分が困難な場合は、日時を改めて、火災原因等の究明に関する詳細な見分等を必要とする調査(以下「立証のための調査」という。)を行うものとする。

2 立証のための調査を実施する場合は、警察官と密接な連絡を保ち、見分の場所、日時等を明確にして行うものとする。

3 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。

(写真撮影)

第21条 実況見分及び立証のための調査を行うときは、火災現場及び見分の内容を明らかにするため、写真による記録を行うものとする。

第5章 質問

(質問)

第22条 調査員は、関係者等に対して調査上必要な事項を質問し、火災の状況の把握に努めなければならない。

2 前項の規定による質問は、強制的な手段を避け、関係者の任意の申述を得るように努めなければならない。この場合において、個人のプライバシーに関する質問は、第三者が不在の場所で行うものとする。

3 伝聞による申述で調査上必要なものは、その事実を直接経験した者の申述を得るものとする。

(質問調査書)

第23条 調査員は、前条の規定により知り得た事項で、原因の判定に必要であると認められる内容については、質問調査書(第3号様式)にその申述を記録しなければならない。

2 前項の規定により、関係者等から申述を記録したときは、当該関係者等に閲覧させ、又は読み聞かせ、記載事項に誤りのないことを確認するものとする。

(少年等に対する質問等)

第24条 調査員は、少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)並びに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、前2条に定める質問を行う場合には、立会人を置いて行うものとする。ただし、立会人を置くことで自由な申述を得られないと判断されるときは、この限りでない。

2 前項の質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもって当たらなくてはならない。

3 少年等を現場見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情及びその他諸般の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。

第25条及び第26条 削除

第6章 原因の判定

(原因の判定)

第27条 火災の原因は、実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討して判定するものとし、その立証に当たっては、物的調査による資料を基礎とし、人的調査による資料によりこれを裏付けるものとする。

(火災原因判定書)

第28条 前条の規定により、火災の原因を判定したときは、火災原因判定書(第4号様式)を作成しなければならない。ただし、火災の種別等によって第37条に規定する火災報告書に記載することにより、これに代えることができる。

2 前項の規定による火災原因判定書には、原因判定の理由及びその経過を系統的かつ明確に記載しなければならない。

第7章 火災損害調査

(火災損害調査)

第29条 火災損害調査は、り災物件を詳細に調査し、正確な損害の把握に努めるとともに、調査員は、当該調査の結果に基づき、損害調査書(第5号様式)を作成しなければならない。

2 り災物件の損害額は、り災した当時の時価により算出する。

3 損害額の算定の基準は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日付消防災第100号)の算出基準による。

(り災状況調査)

第30条 火災損害調査のため必要があるときは、り災者等にり災物件届出書(第6号様式)の提出を求めるものとする。

(死傷者調査書)

第31条 調査員は、火災に起因して死傷者が発生したときは、死傷者の状況を調査し、死傷者の調査書(第7号様式)を作成しなければならない。

第8章 資料の提出等

(資料の提出)

第32条 消防長は、調査のために必要と認める任意の資料の提出を関係者等に対して求めるものとする。

2 消防長が、法第32条第1項又は法第34条第1項の規定により、資料の提出を命じるときは資料提出命令書(第8号様式)により、報告を求めるときは報告徴収書(第9号様式)による。

(資料提出承諾・受領書の交付)

第33条 消防長は、火災原因等の究明に必要と思われる資料を立証のために現場において関係者の了解を得て、任意に提出させる場合は、資料提出承諾書・受領書(第10号様式)の上票を関係者に記載させ、下票に必要事項を記載し、関係者に交付するものとする。

2 資料の返還をする場合には、返還年月日及び受領者の署名を求めるものとする。(照会)

第34条 消防長は、必要に応じて関係機関に対し、必要な事項の通報を求め、又は照会することができる。

第9章 鑑定等

(鑑定等の依頼)

第35条 消防長は、特に必要があると認めるときは、関係のある官公署又は学識経験者に対して鑑定等を依頼することができる。

第10章 報告

(即報)

第36条 消防長は、火災により負傷者又は死者が発生したとき又は火災事例により早急に市長へ報告する必要があると判断したときは、火災即報(第11号様式)を作成し、市長に報告しなければならない。

(調査報告)

第37条 調査員は、調査の結果を火災調査書(第12号様式)により、次に掲げる書類及び資料を添付して消防長に報告しなければならない。ただし、火災の様態等により必要がないと認めたときは、その一部を省略することができる。

(1) 出火出動時における見分調査書

(2) 実況(鑑識)見分調査書

(3) 質問調査書

(4) 火災原因判定書

(5) 損害調査書

(6) り災物件届出書

(7) 死傷者の調査書

(8) 資料提出命令書

(9) 報告徴収書

(10) 資料提出承諾書・受領書

(11) 火災即報

(12) 鑑定若しくは実験の結果又は関係官公署の回答書類

(13) 前各号に掲げるもののほか、原因の判定又は損害額の決定の根拠となった資料

(調査終了時の措置)

第38条 調査の責任者は、調査現場における調査を終了したときは、関係者に対し、焼損状況及び関係者等の申述に基づき、客観的に判明した状況を説明するものとする。

(報告期限)

第39条 調査員は、第11条の規定により調査を行ったときは、火災の覚知の日から、次の各号に掲げる火災の区分に応じ、当該各号に定める期日までに消防長に報告するものとする。ただし、同日までに報告がすることできない場合は、その状況を消防長に報告するものとする。

(1) 電気用品、燃焼機器又は自動車の構造上の不備又は欠陥(疑いを含む。)により発生した火災 90日

(2) 建物に焼損面積が生じた火災(前号に掲げる火災を除く。) 60日

(3) 前2号に掲げる火災以外の火災 30日

第11章 雑則

(官公署等からの照会)

第40条 官公署等から調査の結果について照会を受けたときは、火災調査書等の謄本若しくは抄本又は照会事項についての回答書類を送付するものとする。

(り災証明)

第41条 消防長は、火災等のり災者又はり災に関係のある者からり災証明願(第13号様式)が提出され、当該火災等の調査結果と相違ないときは、その旨を証明するものとする。

(部外秘取扱い)

第42条 この規程に従い作成した書類、現場写真、収集した証拠物件、資料等は、消防長の承認を得ないで部外者に閲覧させ、又は公開してはならない。

(調査結果の活用)

第43条 調査員は、調査を終了したときは、調査の方法、過程等に反省及び検討を加えるとともに、調査によって得た各種の事項を整理して、火災予防及び警防業務に活用するよう努めなければならない。

(雑則)

第44条 この規程の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

(令和5年消本訓令第2号)

(施行期日)

1 この訓令は、令和5年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 改正後の知多市火災調査規程の規定は、この訓令の施行の日以後に行われる調査から適用し、同日前に行われた調査については、なお従前の例による。

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知多市火災調査規程

令和3年3月26日 消防本部訓令第1号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第12編 防/第3章 火災予防
沿革情報
令和3年3月26日 消防本部訓令第1号
令和5年3月27日 消防本部訓令第2号