○知多市子ども条例

平成26年3月26日

条例第4号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 大切にされる子どもの権利(第6条―第11条)

第3章 子どもを支える人々への支援(第12条―第14条)

第4章 地域全体で進める子どもにやさしいまちづくり(第15条―第17条)

第5章 子どもに関する施策の推進(第18条・第19条)

第6章 雑則(第20条)

附則

子どもは、社会の一員として仲間や大人と共に、社会の未来を描き、それを実現する力を持つ大切な存在です。

子どもは、望んでいます。

「一人ひとりの個性やいいところを認め、それを伸ばしていけるように支えられることを。

自分のことを決めるとき、自分の意志で選択することが尊重されることを。

失敗を恐れず大きな夢に挑戦することを信じて支え、応援してくれる身近な人が増える社会を。

みんなが意見を出し合えるような雰囲気を大切にし、一人ひとりの意見に耳を傾け、最後まで聴き、受け止めてもらうことを。

子どもにとって一番いいことを考えて、行動してくれる大人を。」

子どもも大人も、一人ひとりが人生を自分らしく生き、その思いが尊重され、生きていることがすばらしいと実感できる社会を、大人になっても住みたいと思えるまちを、地域のみんなでつくりたいと願っています。

私たちは、この考えのもと、子どもの権利を保障し、地域全体で子どもにやさしいまちづくりを進めるため、知多市子ども条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)の理念に基づき、子どもの権利を保障し、地域全体で子育ちや子育てを支え合う仕組みをつくることにより、子どもにやさしいまちづくりを進めることを目的とします。

(定義)

第2条 この条例における用語の定義は、次のとおりとします。

(1) 子ども 18歳未満の者又はこれに準ずる者をいいます。

(2) 保護者 親又は親の代わりに子どもを育てる立場にある者をいいます。

(3) 育ち学ぶ施設 児童福祉施設、学校教育施設、生涯学習施設など子どもが育ち、学ぶために通い、利用する施設をいいます。

(4) 施設関係者 育ち学ぶ施設の設置者、管理者、教員、職員などをいいます。

(5) 地域住民など 地域住民、市民活動団体、事業者などをいいます。

(基本的考え方)

第3条 この条例により進める子どもにやさしいまちづくりは、次の基本的考え方に基づきます。

(1) 子どもの幸せや子どもにとって最も良いことは何かを第一に考えます。

(2) 子ども自身の意思や力を大切にします。

(3) 子どもの年齢や成長に配慮します。

(4) 子どもと大人との信頼関係を基本に、地域全体で連携して取り組みます。

(大人の役割)

第4条 保護者は、子育てに中心的な役割と責任を持ち、子どもの最善の利益を考え、子どもの年齢や成長に応じた子育てに努めます。

2 施設関係者及び地域住民などは、子どもの権利を理解し、子どもの自分らしい育ちを支援するように努めます。

3 市は、保護者、施設関係者及び地域住民などと連携し、並びに協働し、子どもの権利の保障に努め、子どもにやさしいまちづくりの施策を進めます。

(子どもの権利の普及啓発)

第5条 市は、子どもの権利に対する市民の理解を深めるため、広く情報収集し、その普及や啓発に努めます。

2 市、施設関係者及び地域住民などは、子どもが自分の権利を大切にするとともに、他の人の権利を尊重することを学び、知るための機会の確保に努めます。

第2章 大切にされる子どもの権利

(子どもの大切な権利)

第6条 この章に定める権利は、子どもがひとりの人間として育ち、学び、生活をしていく上で大切な権利として保障されなければなりません。

(安心して暮らす権利)

第7条 子どもには、次のとおり安心して暮らす権利があります。

(1) あらゆる暴力、危害及び差別から守られること。

(2) 平和で良好な生活環境で、健康に暮らせること。

(3) 自分を守るために必要な情報が得られ、安心して相談できること。

(自分らしく生きる権利)

第8条 子どもには、次のとおり自分らしく生きる権利があります。

(1) ありのままの自分が認められ、自信が持てること。

(2) 自由に過ごせる時間が得られること。

(3) 自分のプライバシーが守られること。

(自分らしく育つ権利)

第9条 子どもには、次のとおり自らの意思と力で自分らしく育つ権利があります。

(1) 遊びなど自分の楽しみが大切にされ、やりたいことにチャレンジできること。

(2) 必要な教育が受けられ、自ら学びたいことを学ぶ機会が得られること。

(3) 文化、芸術、スポーツ、社会体験など豊かな自己を育む経験ができること。

(参加する権利)

第10条 子どもには、次のとおり自分に関わることに主体的に参加する権利があります。

(1) 自分の気持ちや意見が聴かれ、尊重されること。

(2) 必要な情報が得られ、意思決定に参加すること。

(3) 仲間をつくり、集い、対話し、自治的な活動を通じ、その力を養うこと。

(地域社会で共に生きる権利)

第11条 子どもには、次のとおり地域社会で共に生きる権利があります。

(1) 地域の人とのつながり、支え合いが大切にされ、思いやりと笑顔に包まれて暮らせること。

(2) 性別、年齢、国籍、文化、障がいの有無などにかかわらず、共に生き、互いに認め合うことができること。

(3) 社会の一員として必要とされ、まちづくりに貢献できること。

第3章 子どもを支える人々への支援

(子育て家庭への支援)

第12条 市は、施設関係者及び地域住民などと連携し、並びに協働し、保護者が子育ての喜びを実感し、安心して子育てができるよう必要な支援に努めます。

2 市は、関係機関と連携して特別に支援が必要な家庭及び子どもに対し、安心して暮らすことができるよう支援に努めます。

(育ち学ぶ施設への支援)

第13条 市は、施設関係者に対し、次のような研修の機会を提供するよう努めます。

(1) 子どもの権利を理解し、保障するために必要なことを学ぶ機会

(2) 権利を侵す行為を早く発見し、対処するために必要なことを学ぶ機会

(地域への支援)

第14条 市は、地域の子育て力の向上を図り、地域が安全で子どもの豊かな育ちの場となるため、次のような取組を進めます。

(1) 地域住民などの活動を支援し、又は協働して子どもの権利を保障し、子育てや子育ちの支援に努めること。

(2) 子育てや子育ちを支援する市民活動団体などを支援し、人材育成と活用に努めること。

第4章 地域全体で進める子どもにやさしいまちづくり

(虐待などの予防への取組)

第15条 市、施設関係者及び地域住民などは、子どもへの虐待、体罰、いじめなど(以下「虐待など」といいます。)の早期発見と防止に取り組みます。

2 施設関係者及び地域住民などは、虐待を受けていると思われる子どもを発見したときは、直ちに市や関係機関に通報しなければなりません。

3 市は、関係機関などと連携し、虐待などについて安心して自由に相談できる環境を整え、その救済に必要な支援に努めます。

(子どもの居場所づくり)

第16条 市及び地域住民などは、連携して、子どもが自分らしく生き、育ち、地域社会において共に生きられる場(以下「居場所」といいます。)の確保及び充実に努めます。

2 地域住民などは、地域における子どもの多様な体験及び自発的な活動を促進し、人と人とのきずなを深められる居場所づくりに努めます。

(子どもの参加の促進)

第17条 市は、地域住民などと連携し、及び協働し、子どもがまちづくりに主体的に参加できる会議などの機会の充実に努めます。

2 市は、子どもに関連した施策の計画及び実施に当たっては、子どもが話しやすい方法で意見を聴くように努めます。

3 施設関係者及び地域住民などは、子どもが自分に関わることについて、自分の気持ちや考えを表明し、参加する機会を設けるよう努めます。

第5章 子どもに関する施策の推進

(子どもに関する計画)

第18条 市は、子どもにやさしいまちづくりを計画的に進めるため、子どもに関する行動計画(以下「行動計画」といいます。)を策定します。

2 市は、行動計画を策定するときは、子どもを含めた市民の意見を反映することができるように努めます。

(子ども子育てを支援する会議)

第19条 市は、行動計画の策定及び円滑な推進を図るため、子ども子育てを支援する会議を設置します。

2 子ども子育てを支援する会議は、行動計画の推進に関し、調査及び検証を行います。

第6章 雑則

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、別に定めます。

この条例は、平成26年4月1日から施行します。

知多市子ども条例

平成26年3月26日 条例第4号

(平成26年4月1日施行)