○知多市議会基本条例
平成25年3月26日
条例第6号
目次
前文
第1章 目的(第1条)
第2章 議会及び議員の活動(第2条―第4条)
第3章 市民と議会(第5条―第7条)
第4章 議会と市長等の関係(第8条―第10条)
第5章 議員間の討議(第11条)
第6章 議会の体制(第12条―第15条)
第7章 議員の政治倫理(第16条)
第8章 議員の定数及び処遇(第17条・第18条)
第9章 条例の位置付け(第19条・第20条)
附則
地方分権改革が地域主権改革に引き継がれ、地域民主主義の確立に向けた機運が高まり、住民代表機関である議会の役割や責任はますます大きくなっている。
私たち議員は、地域主権にふさわしい議会の姿はどうあるべきか、といった相互議論と論点整理を踏まえ、議会の活性化と機能強化を目指した改革の推進により、市民の信頼を確固たるものにしなければならない。
もちろん、その改革は、議員の目線ではなく、市民の目線に立ったものであり、議員にとっての甘えや安易な前例踏襲を改めるものでなければ、市民からは受け入れられない。議会は、市民に開かれた議会であるとともに、信頼される議会でなければならない。
議会基本条例の制定は、議会改革の目的や体系を包括的に自己決定する手段である。条例制定は、目的ではなく、あくまでも手段であり、制定後の議会、議員活動が評価されることを肝に銘じておく必要がある。
私たちは、地方自治体の基本である二元代表制の下に、市長と議会がお互いに緊張感を保ちながら、市民全体の福祉向上のための使命を果たさなければならない。自らのルールは自らが決め、自らが行動することを基本に、地域経営を支える新たな議会像の確立に向け、まずは議会自身のルールがどうあるべきかを議論し、右へ倣えではなく、現状を改革すべく、地域主権時代にふさわしい市民の代表機関、議決機関となるため、ここに知多市議会基本条例を制定する。
第1章 目的
(目的)
第1条 この条例は、知多市議会の最高規範であり、議会の基本理念、議員の役割、責務等の基本原則に加え、議会及び市長その他執行機関の職員(以下「市長等」という。)並びに市民との関係を明示することにより、公正で民主的な市政運営を実現し、市民が安心して生活でき、幸せが実感できるわがまち知多市の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動
(議会活動の原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則により活動を行うものとする。
(1) 常に市民を代表する議決機関であることを自覚し、公正性、透明性及び信頼性を高め、市民に開かれた分かりやすい議会運営を行うこと。
(2) 市民本位の立場から、市長等の市政運営状況の監視及び評価をすること。
(3) 地域主権及び地方自治の進展に的確に対応するとともに、議会の質を高め、独自の政策立案又は政策提言を行うこと。
(4) 市民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映することができるよう市民参加の機会の拡充に努めること。
(5) 議決責任を認識し、積極的な情報公開に取り組むこと。
(6) 市民の議会傍聴意欲を高めるよう傍聴者への資料提供を充実させるとともに、分かりやすい言葉及び文章を用いた議会運営に努めること。
(7) 知多市議会会議規則(昭和58年知多市議会規則第1号。以下「会議規則」という。)、知多市議会委員会条例(昭和45年知多市条例第6号)及び議会内での申合せ事項は、2年ごとに議会運営委員会において見直すこと。
(議員活動の原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則により活動を行うものとする。
(1) 議会が言論の場及び合議制の機関であることを認識し、議員相互間の自由な討論及び意見交換を重んじること。
(2) 市民の代表として、市政全般の課題及び市民からの意見、要望等を的確に把握することに努め、市民全体の福祉向上に向けた活動を行うこと。
(3) 常に自己研さんに努め、資質向上を図るとともに、市民全体の代表としてふさわしい活動に徹すること。
(議会の会派)
第4条 議員は、議会活動を遂行するための政策集団として、会派を結成することができる。
2 会派は、同一の理念を共有する議員で構成する。
3 会派は、議会運営、政策決定、政策提言、政策立案等に関し、会派間で調整を行い合意形成に努めるものとする。
第3章 市民と議会
(市民との連携)
第5条 議会は、市民に対し積極的にその有する情報を発信し、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、請願を市民による政策提言と位置付け、その審議において必要があると認めるときは、請願者の説明及び意見を聴く機会を設けなければならない。
3 議会は、市民の意見、要望等を聴取する機会を設け、議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
(議会報告会)
第6条 議会は、市民との意見交換の場として、年1回以上、議会報告会を開催するものとする。
2 議会報告会に関し必要な事項は、別に定める。
(議会広報活動)
第7条 議会は、議会の活動に関する情報を議会独自の視点から、常に市民に対して広く公表するとともに、その周知に努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、より多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第4章 議会と市長等の関係
(市長等との関係)
第8条 議会審議における議員と市長等は、常に緊張ある関係を構築することに努めるものとする。
2 本会議並びに常任委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)における議員と市長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行わなければならない。
3 議員は、会派を代表して行う代表質問においては総括方式により、会議規則第60条に規定する一般質問においては一問一答方式により、議論経過が明確かつ分かりやすい質問となるよう努めなければならない。
(反問権)
第9条 議長から本会議又は委員会に出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問等に対し、論点の明確化を目的として反問することができる。
(監視及び評価)
第10条 議会は、市長が提案する重要な政策、条例又は計画(以下「政策等」という。)について、議会の審議における論点情報を整理し、その政策等の水準を高めるため、市長に対して、次に掲げる事項について明らかにするよう求めることができる。
(1) 政策等を提案するに至った経緯及び提案理由
(2) 他の自治体の類似する政策等との比較検討
(3) 市民参画の有無及びその内容
(4) 総合計画との整合性
(5) 政策等の実施に要する財源措置
(6) 将来にわたる政策等の効果及びコストの計算
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、立案及び執行における問題点を明らかにするとともに、執行後における政策評価の審議に努めるものとする。
第5章 議員間の討議
(議員間の自由討議)
第11条 議員は、議会が言論の場であることを十分に認識し、本会議又は委員会において、議員相互間の自由討議を行うことができる。
第6章 議会の体制
(委員会の運営)
第12条 議会は、社会経済情勢等の変化により、新たに生ずる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性を活かし、その適切な運営に努めるものとする。
(専門的知見の活用)
第13条 議会は、市の直面する重要課題に対応するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条の2の規定により、専門的な知識又は経験を有する者の積極的な活用を図ることができる。
(災害時の対応)
第14条 議会は、災害時において迅速かつ適切に対応するための組織体制の確立に努めるものとする。
2 災害時の議会対応に関し必要な事項は、別に定める。
(議会の研修)
第15条 議会は、議員の政策形成及び政策立案能力の向上を図るため、議員の研さんを目的とした研修会の充実強化に努めるものとする。
第7章 議員の政治倫理
(議員の政治倫理)
第16条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民の代表としての名誉及び品位を損なう行為を慎み、より高い倫理性を常に自覚し、品位を保つこと。
(2) 常に議員として市民の利益を優先し、その地位を利用して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(3) 公職選挙法(昭和25年法律第100号)、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)その他公職にある者に対して適用される法律に違反する行為をしないこと。
(4) 市長等の公正な職務執行を妨げる行為をしないこと。
第8章 議員の定数及び処遇
(議員定数及び議員報酬)
第17条 議員定数及び議員報酬は、別に条例で定める。
2 議員定数又は議員報酬の改正に当たっては、行財政改革を重視するとともに、近隣他市との比較を行うものとする。この場合において、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意向を把握し、本市の実情に合った議員定数又は議員報酬を検討するものとする。
(政務活動費)
第18条 政務活動費は、知多市議会の会派に対する政務活動費の交付に関する条例(平成13年知多市条例第1号)により、適正に執行するものとする。
2 政務活動費の執行に当たっては、公正性及び透明性を確保するため、議長に対して証拠書類を添付した報告書を提出しなければならない。
第9章 条例の位置付け
2 議会は、この条例を改正するに当たっては、本会議において改正の理由を説明しなければならない。
附則
この条例は、平成25年6月1日から施行する。
附則(平成27年条例第8号)
この条例は、公布の日から施行する。