本文へ

知多市の逸話ストーリー#02 サントリーウイスキー「知多」 風のように軽やかなウイスキーに乾杯

印刷する

更新日 2022年06月10日

サングレイン株式会社 代表取締役社長 前村 久さん 
サングレイン株式会社 代表取締役社長 前村 久さん

知多市が誇る地元発ウイスキー「知多」

伊勢湾を望む知多半島に、その場所はある。
「知多蒸溜所」―――話題のウイスキー『知多』を生んだ注目の蒸溜所だ。


周囲には、蒸溜所を取り囲むように、製粉会社などの大型食品工場がそびえる。意外な場所だが、なぜこんな場所に蒸溜所があるのだろうか。
「(主原料である)トウモロコシを積んだアメリカからの船がここにやって来ること、また貯蔵庫のある滋賀県の近江エイジングセラーと山梨県の白州蒸溜所の中間地点であるということなど、ここは物流の面で最適な場所です」と話すのは、サントリーグループ・サングレイン株式会社の前村久(まえむらひさし)社長。



陰の立役者・グレーンウイスキー

ウイスキーには、大麦を主原料とした「モルトウイスキー」、トウモロコシなどの穀類を主原料とした「グレーンウイスキー」、そしてこの2種類をブレンドした「ブレンデッドウイスキー」の3種類がある。
知多蒸溜所でつくられているのは、グレーンウイスキー。
香り豊かで個性的なモルトウイスキーに対し、“サイレントスピリッツ”と呼ばれるグレーンウイスキーは、軽やかで穏やかだ。例えれば、和食でいう「だし」のようなもので、モルトウイスキーの個性を引き出すという重要な役割をする。知多蒸溜所では、角瓶、オールド、響(ひびき)といった名ブランドに欠かせないグレーンウイスキーをつくっている。

 サングレイン株式会社 取締役総務部長 浅野 晃次さん
サングレイン株式会社 取締役総務部長 浅野 晃次さん



サングレイン知多蒸留所(連続式蒸溜機) 
 
  サングレイン知多蒸留所
サングレイン知多蒸留所。上は連続式蒸溜機。

知多蒸溜所だから実現できた
“ザ・シングルグレーンウイスキー”

その陰の立役者であるグレーンウイスキーが平成27年9月、シングルグレーンウイスキー(単一の蒸溜所のグレーン)・「知多」として全国に向け送り出された。シングルモルト(単一の蒸溜所のモルト)はよく見掛けるが、まさかシングルグレーンで勝負するとは。
「シングルとはいっても、単一の原酒だけではありません。知多蒸溜所では、連続式蒸溜機と呼ばれる設備でクリーン、ミディアム、ヘビーとつくり分けた原酒をブレンドしています。他にも樽(たる)
の使い分けなどから、多彩な味わいや香りを引き出し、軽やかでありながら複雑な味わいにブレンドされています」。

定番のホワイトオーク樽に、スパニッシュオーク樽、ワイン樽など。
例えばワイン樽などを使えば、イチゴのように甘い香りの原酒になったりする。軽やかなのに単調でなく、複雑な香りがするのは、そのせいだ。
「80年代のサントリーオールド全盛期が過ぎ、ウイスキーブームが低迷していた時代に、僕たちが何をやっていたのかというと、こういった樽の使い分けの研究でした。樽の素材や大きさなど、ひたすらあらゆる可能性を試していたのです」。
グレーンウイスキー原酒の作り分けをしているのは世界でも稀(まれ)だとか。『知多』は、サントリーの弛(たゆ)まぬ研鑽(さん)によって実現したウイスキーといえるだろう。

 



これぞ日本人がつくる
繊細なウイスキー

“サイレントスピリッツ”を緻密に組み合わせるというのは実に日本的な発想だ。吟醸酒のようなフルーティさを表現するには、まさにブレンダーの日本的な感性が重要だろう。
『知多』には約10種類ものグレーン原酒がブレンドされているそうだ。
「日本人の味覚に合った洋酒文化を切り開きたい」という、サントリー創業者・鳥井信治郎(とりいしんじろう)氏の思いがそこに宿る。「それから100年近く経って、ようやく、これは日本のウイスキーだと呼べる酒ができたのです」と、社長の言葉も熱をおびてくる。 「ウイスキーのおいしさは、最終的なブレンドの工程にあり。これはブレンダーの技によって引き出されます。農産物であるウイスキーは、同じようにつくっても樽によって個性に違いが出るもの。違うからこそ毎回、味を均一につくりあげることに苦心していますが、まさにそこが面白いとも感じます」。

 サントリーウイスキー知多



前村社長と浅野総務部長

そして新しい時代を創った

蒸溜所の名前をとって、「知多」と名付けられたウイスキーの誕生には、予想以上の反響があった。「『知多』が販売されると、地元の方がとても喜んで応援してくださいました。80年代、ウイスキーが下火になり、ずっと試行錯誤していたことが、この『知多』で開花したと思うと非常に感慨深いですね」と社長。ようやく(受け入れられる)時代が来ましたね、というと、社長はにこやかにこう言った。「いいえ、30年かけて、そんな時代を創ったのですよ」。
知多市でつくられ、全国で愛される「サントリーウイスキー知多」。ソーダで割った、風のように軽やかな味わいの「風香るハイボール」をぜひ飲んでみてほしい。
取材日:平成29年1月
※一般の方の知多蒸溜所見学は受け付けておりません。

 


サントリーウイスキー「知多」は、 「知多市推奨品」で、「ふるさと応援寄附金」の返礼品です。

知多市ふるさと応援寄附金

お問い合わせ

企画部 秘書広報課
TEL:0562-33-3151

PAGETOP

質問する